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2006年06月03日(土曜日)付

[日期:2006-12-21] 来源:  作者: [字体: ]
 フランスに渡った藤田嗣治が、初めてパリで個展を開いたのは1917年の6月だった。ある日ピカソがやってきて、3時間以上も絵の前に立っていたという。

 その時のことを、藤田が語っている。「長い間私の画を熱視してたピカソは決して私の画の材料などと言う枝葉の問題ではなく、この画が何年の後、何十年の後何う変わって行くか、その先を考えて得るものがあれば頂戴しようと言うやり方で私も驚いた」(近藤史人『藤田嗣治「異邦人」の生涯』講談社)。

 ピカソは、様々なところで「得るもの」を探していた。同時代の画家だけではなく、ベラスケスやドラクロワ、マネといった巨匠の絵の構図などを借用した。しかし、それは一般の「剽窃(ひょうせつ)」とは全くわけが違うと、高階秀爾氏が『ピカソ 剽窃の論理』(ちくま学芸文庫)に書いている。「彼の場合は、他人のものを借用してもそれをすっかり自分のものに消化してしまっている」  

 05年度の芸術選奨を受賞した画家・和田義彦氏の作品に盗作の疑いがあるとして、文化庁が調べている。「盗作された」と語るのはイタリアの画家アルベルト・スギ氏で、メディアが流したふたりの絵は確かによく似ている。

 芸術選奨の「贈賞理由」にはこうあった。「骨太な表現と変化に富む内容は圧巻で……劇的な情景を設定しているが、示唆するものは社会の不条理や人々の不安、孤独など内面の実存である」。賞の審査の中身までも問われかねない。

 創造と模倣は、芸術につきまとう問題だが、ことは国境を超えている。


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