政府は「在日米軍の再編」と言うが、これでは、日本が米国の世界戦略に一段と組み込まれてしまうのではないか。日米同盟が「新たな段階に入る」と宣言した外務・防衛担当閣僚の合意内容を見て、そう思った。
米陸軍の軍団司令部が神奈川県の基地に来て、陸上自衛隊の司令部が「同居」する。沖縄から国外に出る部隊がある一方、日本本土へ移るものもある。沖縄の負担軽減の名目で、日米の軍事的な一体化や、本土の沖縄化が進みかねない。
戦後、米国は戦争を繰り返してきた。ベトナム戦争では、国防長官が後に「間違いだった」と述べた。イラク戦争では、大量破壊兵器について結果的に誤った内容を国連で演説した国務長官が「人生の汚点」と語った。過ちのたびに多くの命が失われた。
小泉首相は、再編のための法案の提出を先送りするという。再編は国の針路を左右するだけではない。経済や財政にも影響するような膨大な出費を約束して、後は頼むでは済むまい。
「私が日本を見ていて一番うれしいのは、経済が軍事的な影響力から逃れている点だ」。先日、97歳で亡くなった米国の経済学者ガルブレイスさんが、04年の日本経済新聞で述べている。
米国については、国際的な影響力を強めようとすればするほど不人気になり恐れられると分析して、続けた。「誤りの根源は、企業の利益と軍事的な影響のもとで外交政策が実行されていることにある」。『不確実性の時代』などで日本にも多くの読者をもち、一世紀近くも世界を見続けた人の言として、重みがある。

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